[はじめの一歩]価値のない鷹村守の勝利 リチャード・バイソン戦

鷹村守のWBC・WBA世界ミドル級王座統一戦がようやく終了。鷹村が豪快に相手をKOしてミドル級王座を統一するという快挙は本来なら長らく一歩を読んでいる読者としては喜ぶべきことなのかもしれない。しかし、この試合、ネットの評判があまりよろしくない。その理由をいくつか挙げていこうと思う。

1.鷹村守VS リチャードバイソン

この試合は読者の誰もが鷹村のKO勝ちを予想していた。結果としてそれは一切間違っていないのだが、鷹村は過去に戦ったブライアン・ホークやデビット・イーグル戦並み、もしくは、それ以上の苦戦を強いられることになる。

相手はアメリカのWBAのミドル級王者 リチャード・バイソン。戦績は未記述。過去にはアマチュアで2度ほどデビット・イーグルとの対戦歴があるが、いずれも負けている。プロでのリベンジを誓っていたが、鷹村がイーグルを倒してしまったことにより、鷹村を憎悪している。

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初登場時、さほど強そうに描かれていなかったため、鷹村が少しだけ苦戦して、豪快にKOするんだろう。そんな風に思っていた。しかし、この王者、蓋を開けてみると鷹村をKO寸前のところまで追い詰めるのだ。

試合開始のゴングがなると、あまり強そうに見えなかった王者バイソンの描き方が一変する。デトロイトスタイルの構えを取りフリッカージャブを鷹村に対して浴びせるのだ。陰影が濃く描かれたバイソンの顔は試合前とは打って変わって強者の顔になっていた。2015-11-14 23.51.05

 

 

 

そんなバイソンに負けじと鷹村も陰影が濃くなり、こちらもいつものバカ村とは違う表情を見せる。
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試合は予想に反して、ハイレベルな技術戦となる。1Rからフリッカーを自在に操るバイソンに対して、手を焼く鷹村だったが、なんとか致命的な被弾はせず応戦。2Rになると、今度は鷹村が試合では始めてフリッカーを使いだす。実戦で使用したことのないパンチだったが、フリッカー使いのバイソンを脅かす。

こうして、レベルの高い技術戦が続くが、鷹村の急ごしらえのフリッカーはバイソンに破られてしまい、バイソンの右ストレートのカウンターをもらってしまう。しかし、なんとかこらえダウンはせず。打つ手がなくなったか?と思われたが、今度は鷹村がバイソンに対して全く同じことをやり返す。首を捻ってダメージを殺すが、それでも、バイソンはダウンしてしまう。逆にフリッカーを封じられてしまったバイソンはインファイトで勝負するが、インファイトでも鷹村に打ち負けてしまう。精神的にも肉体的にもダメージをかかえるバイソンに対して、まだ余力がありそうな鷹村。これで試合はほぼ決したかに見えた。しかし、ここから読者は大きく裏切られることになる。

過去一番の大苦戦 鷹村守

ラウンド間のインターバルに突入すると鷹村の様子が変わる。サブセコンドの篠田さんに対し、足のマッサージを頼みお礼を言うのだ。今まで礼を言われたことがない篠田さんはあっけにとられる。試合が再開し、鷹村が仕留めにかかると思いきや、足が重い。手数が出ない。バイソンは苦し紛れに様々なパンチを出すが、鷹村にはすべて通用しない。もう、打てるパンチがなくなったバイソンはやぶれかぶれの状態で左のフルスイングのフックを放つ。誰もがカウンターチャンスと思ったが、鷹村は被弾。パンチを当てたバイソンも面を食らう。こうして鷹村のリズムはどんどん狂い始める。ストレート系のパンチには対応するが、左のロングフックだけがなぜか避けられない謎にセコンド含め、ジムの仲間である一歩達もあっけにとられる。左の強打をもらい続け、弱っていった鷹村に対して、ここぞとばかりにインファイトで鷹村を削っていく。甚大なダメージを背負ってしまった鷹村はバイソンの攻撃に対応できなくなるだけでなく、足の故障も見抜かれてしまい、防戦一方となるのだ。左のロングフックを再三もらい続けた鷹村はコーナーに追い詰められ滅多打ちにされる。鼓膜がやぶれ耳から出血し、意識も朦朧。セコンドからの指示や声援なども一切聞こえなくなった鷹村の姿はとても痛々しく、過去に対戦したブライアン・ホーク戦やデビット・イーグル戦に匹敵するレベルのダメージを抱えてしまう。ダウンはしていないもののダメージの深刻さから考えれば、鼓膜がやぶれるほどのダメージを抱えたことがないという点では過去最大の苦戦と言っていいかもしれない。

鷹村守は実質負けも同じ

コーナーから出られずボコボコにされる鷹村を見かねてチーフセコンドの鴨川会長がとうとうタオルはリングに向かって投げる。そう間違いなく投げた。しかし、、、

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チーフセコンドが投げたタオルを空中でキャッチしたプロボクサーが二人。ジムの後輩である青木勝と木村タツヤの両名。ボクシングの歴史上、こんな方法でタオルを投入を阻止したことがあっただろうか?あったら教えてほしい。これは強調しておかなければならないのは、ボクシングの試合ではセコンドはチーフセコンド1名とサブセコンド2名の3名までである。試合を止めるタオルはチーフセコンドが持っており、そのタオルがリング内に投入されるとその時点で試合は終了となる。この2名はジム関係者ではあるが、セコンドではない。ただの部外者である。明確な規定があるかどうかは定かではないが、試合の妨害と見なされる可能性すらあるし、発覚すれば、この二人にはそれ相応の処分が下されることになる可能性すらある。タオルを奪われたことで会長の鴨川は二人を叱責するが、まだ試合中。鷹村は打たれ続けている。しかし、鷹村はそんなリング下のゴタゴタに目をやるとなぜか復活。故障していた足は使わずに、片足の回転運動のみで強烈なパンチをバイソンに打ち込む。逆にコーナーを背負うことになったバイソンを鷹村が豪快な右フックでバイソンを撃沈し、KO勝利。意味不明である。「3階級制覇!統一王者爆誕!」と書かれたところで、鴨川会長がタオルを投げたという事実は一切変わらない。というか、その事実はとてつもなく重いもののはずだ。何度も書くが、チーフセコンドが投げた瞬間その時点で負けなのだ。先っぽだけだから大丈夫とかそういう事ではないのだ。作者の森川ジョージも担当の編集もなぜこんな結末にしてしまったのか?青木と木村に助けられる鷹村など誰が見たいだろうか?この試合は鷹村の歴代の試合の中でも最低最悪な試合だったと言えるだろう。

試合のテーマだった人外とは?

この試合のテーマ「人外の領域」というものがある。世界王者の鷹村や世界を目指す間柴や千堂が踏み入れている領域のこと。主人公の一歩がその領域に踏み出すことができなかったため、ゴンザレスに敗北した経緯がある。一歩がその「人外の領域」を見極めるための3試合だった。しかし、蓋を開けてみればどうだろう?それぞれ最後はKO勝ちしたものの揃いも揃って大苦戦。作者の森川ジョージもそうだが、編集も含めて大苦戦=いい試合と思い込んでいる節がある。違うのだ。時には強者に快勝することもいい試合なのだ。ここ数年の一歩の試合は全て苦戦ばかり。強い敵に圧倒的な実力を見せつけてこそ人外なのだ。故障した状態でも強靭な精神力で勝つこと=人外なのではないはずだ。試合の見せ方があまりにも下手だ。無駄に試合も長い上に、ここまで苦戦が続くようであれば、さすがに一歩を読んでられなくなるレベルなので、作者も講談社も真剣に考えてほしい。

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6 thoughts on “[はじめの一歩]価値のない鷹村守の勝利 リチャード・バイソン戦

  1. 漫画と現実を混合させてしまっているようですね。
    漫画は漫画。
    現実は現実。
    その境界線を曖昧にさせると、作品を面白くなくす。
    面白くないものへと変えてるのはあなたです。

    1. コメントありがとございます。

      そういう感想を持つのもまた一つの意見ですので、アリだと思います。

      ただ、はじめの一歩の鷹村に関して言えば、青木と木村のタオルキャッチに関しては完全に一線を超えていると思っていますし、
      鷹村自身も青木や木村がいなければ負けていた。というある種の汚点になってしまいますので、あの描写はやるべきではなかったと思っています。
      バイソン戦に関しては、少しだけ苦戦した程度で、快勝させた方が「人外」というテーマが際立つと思いました。
      作者や担当編集の頭の中に「大苦戦=名勝負」という図式があるため、どうしても、顔が変形するレベルのボコボコ描写が多くなってしまい、結果、
      世界挑戦もしていないのにパンチドランカー疑惑というハンデを抱えてしまうことになっているわけです。
      読者としても、世界挑戦もしていない選手が壊れていく様や6階級制覇を目標に掲げている鷹村が2階級で足踏みしている状態が非常に歯がゆく感じてしまいます。この状態で網膜剥離やパンチドランカーなどのハンデを持ち出してしまうと、所謂、「よくあるボクシング漫画」として収まってしまう怖さがあるのです。

      鷹村にしても一歩にしても、作中の登場人物は本来はとても魅力ある選手たちなので、2人ともここで殺してほしくないという一読者としても願望をエントリーに綴ってみました。

  2. 個人的にこの試合は鷹村が試合中に相手に喋りかけるシーンがたくさんありすぎて試合中の緊張感が損なわれて微妙でした

  3. 初めまして。
    子供の頃から同作品のファンで、自身の成長期と同じようなスピードで成長していってた初期の一歩にはとても感銘を受け、以来ずっと物語も追い続けていました。
    時が経って子供が出来、自身がドキドキしながらページをめくってた頃くらいに大きくなりました。
    私のマンガ棚からもちだしては息子も熱心に読んでいますが、キリの良いあたりでやめさせようと思っています。
    何故かというと、子供の多感な時期の一年はとても長いし密度も濃いです。故に私の記憶にはじめの一歩が刻まれてもいるわけですが、
    主様のブログのご指摘通り、
    ・一歩があまり技術的に進歩していかない。
    ・結果逆転勝ちのパターンは持ち前の一発の破壊力ばかりで持って生まれた才能が全てであるとオーバーにいってしまえばそんな印象で夢がない。
    ・最大の点は、一歩の精神的な弱さを引っ張り過ぎで(クミちゃんに対しても上を目指す志的にも)、はじめは強いとは何か?を追い求める良さがありましたがここまでくれば優柔不断の目的も自分で作れない弱さばかりが目についてしまう点。
    プロボクサーの内面の葛藤を描くのは大変結構ですが、少年マンガなんですし、主人公は実力は伴ってなくても気持ちは1番になってやる!だとか強い奴と戦うとオラわくわくすっぞ!くらいに真っ直ぐな位の方が夢があります。
    休載も目立つようになってきましたし、子供にとって多感な時期に何年にも渡ってウジウジとした弱い主人公のマンガをよんでほしくないなぁ、、と何となく思ったからです。
    大人の事情で作品を終わらせられないが故にリカルド線や宮田戦が遠のくのはまぁ仕方ない部分もあるかもしれませんが、
    ネガティヴな部分ばかりクローズアップしてだらだら続けるならはじめの一歩-一歩編-は終了して、はじめの一歩-鷹村編-とかにして、一歩の試合は2コマとナレーションくらいにしとけばよいのでは?と真剣に思います。
    主様いかがでしょうか?

  4. 連投すみません。
    先程の補足ですが、作者は最初鷹村をミドル級世界チャンプを目指す事を、当時現実に日本人には前例がなく当初戸惑っていたが竹原がミドル級で世界チャンプになった事で、
    少年マンガとして夢がなかった!と猛省して鷹村の目標は6階級制覇に切り替えたという逸話は有名ですよね?
    そこ反省するなら、たまに弱い面描く位はいいにしても何年もず〜〜とウダツのあがらない、精神的にだんだん弱くなってるような主人公像を描いてること宮田との再戦の可能性ほぼないことになどに夢がない事も反省してくれ!
    って思います。
    まぁ、精神的な弱さの件はだんだん人外がどうのに足を踏み入れていく予定なんでしょうがウジウジ期が長すぎます。

  5. そういう感想を持つのは無しです。自分の知識をひけらかしたいと思われるだけなのでやめておけば?

    たぶんあなた以外は現実のことだとは思っていないので一線を越えたとかおかしな発想にはならない。

    本当に問題になると思うのならWBCなりWBAなりに提訴すればいかが?たぶん頭のおかしなやつだと相手にされないのは明らかですが、、、

    あんたのいってることはそういうこと、わかったかな?

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