Thursday, 28/3/2024 | 5:31 UTC+9

【問題だらけ?】はじめの一歩の着地点を真面目に考えてみる -前編

連載開始からもうすでに25年以上が経過している週刊少年マガジンで連載されている不動のボクシング漫画「はじめの一歩」だが、主人公の幕之内一歩が世界前哨戦で世界ランカー相手に敗北したことで、一向に終わる気配がない。一応は固定の読者がそれなりについており、ジャンプで言えばこち亀のような存在でダラダラとした展開でも打ち切りになる心配が一切ないので、作者の森川ジョージとしても、この漫画を描いているだけで一生安泰といった具合だろう。ここ数年の展開の遅さにはさすがに、あまりにも異常で、一歩がアルフレド・ゴンザレスに敗北した試合は、度重なる休載などを含めて1年以上の時間を費やし、コミックスはこの1試合だけで4巻にもなった。一歩の試合の中では最長の記録である。この試合を期に見るのを止めたという読者も少なくないかもしれない。どうして、ここまで酷い状況になってしまったのか?はじめの一歩をきれいに完結させるにはどうすればいいのか?一読者として真剣かつ真面目に考えてみる事にする。

1.ここ最近の幕之内一歩

そもそも、主人公の一歩はライバルの宮田一郎とプロのリングで対戦して勝つという大きな目標を掲げていたが、宮田一郎が父親を引退に追い込んだ選手の息子=ランディ・ボーイ・ジュニア(OPBFフェザー級暫定王者)と戦うことを最優先させ、一歩との約束を一方的に反故にした。その際、宮田一郎は一歩に土下座をするという芸当まで披露した。この結果、絶縁状態になり、両者の試合の話は完全に消滅した。この宮田一郎土下座事変は多くの読者からの不評を買い、ここでも多くの読者を失ったと言っていいだろう。この土下座事変以降の一歩は明確な目標を完全に失ってしまう。

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約束を守れないと一歩に対して、土下座する宮田一郎先生。ちなみに、この後、土手で呆然とする一歩を残して、ポッケに手を突っ込んでお帰りになった模様。

 

一歩は千堂をKOで倒して日本王者になった後、インテリボクサーの真田、元後輩の山田直道、韓国人の輸入ボクサー、無尽蔵の肺活量とパワーを持つ沖縄のインファイター島袋らを撃破。5度目の防衛線で宮田一郎を超える凶悪なカウンター使いの沢村竜平を迎えた際には、KO寸前まで追い込まれるも、デンプシーロールの振子運動を止めてカウンタータイミングをずらすというカウンター使い殺しを見せ、沢村の挑戦を退けた。6度目の防衛線では、足の速いアウトボクサーの唐沢拓三を相手にパンチを一切被弾せず、危なげない試合を見せ、国内にもう敵はいないという状態だった。もし、これで、宮田一郎との試合が実現していれば・・・そんな感想を持つ読者は多いはず。しかし、試合は宮田の怪我で延期(この間、ベテラン武恵一との防衛線が行われる)するなどし、最終的に宮田一郎土下座事変によって試合は完全に消滅した。宮田一郎との試合が完全に消滅した後、鴨川会長から提示された試合はアジア王者との3連戦だった。しかし、この3連戦が一歩読者を更なる地獄突き落とす事になる。

宮田が過去に対戦したタイの王者ジミー・シスファー相手には、超強引なファイトスタイルで苦戦させられ、フィリピンのインチキ八百長ボクサーの試合では、鴨川会長がセコンドの八木さんにタオル投入を命ずるところまで追い詰められ、インドネシアの18歳のウォーリー相手には、1R以外パンチを当てることができずに、フルボッコという表現が適切なレベルで一方的なやられっぷりで、この試合は一歩がウォーリーのボディにペチッと触るパンチ=通称・ペチパンを足掛かりにして、逆転KOで勝利するというなんとも、読んでいてかなり苦痛なレベルの試合だった。なぜ、これで負けない?なぜ、これで勝てる?レフェリーの島川さんと肉体関係でもあるんじゃないかと疑いたくなるレベルで一歩は負けなかったのだ。

こうして、ボクサーとしての技量の問題とダメージを沢山抱えた主人公の一歩は長らく放置していた国内王座の防衛戦を行う。相手は2階級上のライト級からウェイトを落としてきた小島。しかし、この試合もまたまた問題をしてしまう。本来ならアジア王者3連戦で更に強くなった一歩の姿を見せて、気持ちよく国内卒業をしなければならないのだが、試合前から小島から安い挑発を繰り返され、一歩はそんな小島に怒り心頭。完全に頭に血が昇ってしまった一歩は、小島の術中に見事にハマり、一歩は1R開始早々カウンターをもらい大ダメージ。しかし、そんなピンチも足の親指一本で踏みとどまり、体勢を立て直した一歩は小島をワンパンチKOで沈めるというゴミみたいな試合をする。しかも、こんな薄いジンジャエールのような内容でコミックス丸々1巻以上使ってしまうのだ。読者的にはもう拷問である。

唐沢戦が国内最後の試合ならどれほど良かったか・・・。

そして、次の相手は世界王者リカルド・マルチネスと2度の対戦経験のある世界ランキング2位のアルフレド・ゴンザレス。この試合で一歩はゴンザレスのアウトボクシングにほとんど何もできず、試合の序盤から中盤まで一方的にやられてしまう。あげくの果てには、散々、手のひらの上で踊らされて、真田戦以来のダウンを奪われてしまう。救いようのないレベルで一歩には技術がないのだ。これで世界挑戦するつもりなのか?一歩のあまりの下手さ加減にぶちギレしたゴンザレスさんは一歩の土俵である接近戦で一歩を圧倒する。接近戦の技術レベルでも一歩は負けてしまうのだ。しかし、一歩は最大の武器である破壊力抜群のパンチ力でなんとかガード越しにゴンザレスの脳を揺らすことに成功し、反撃の糸口を掴みダウンを奪い返す。

一歩「会長・・・僕たちのボクシングが世界に通用しています・・・

読者は思った。「いや、通用してないよ・・・。

そんなこんなで試合は一歩優勢に進み、ゴンザレスをKO寸前のところまで追い詰め。しかし、暗闇の中のゴンザレスに一筋の光(リカルド・マルチネスに再度挑戦するという強い決意)が彼の目を蘇らせる。倒しにいこうとする大振りになった一歩のパンチに対して、ゴンザレスは真直ぐの右ストレートのカウンター。一歩の顔は主人公とは思えないレベルで粉砕され、結果失神KO負け。もはや、この試合は「あれ?ゴンザレスが主人公なのでは?」と思わるような描写が多々見受けられる。ゴンザレスの成長と飛躍を助けてしまった主人公ってどうなのよ?今後の好敵手となるような存在ならまだしも、おそらく、ゴンザレスは千堂と戦うだろうから一歩との再選は可能性はかなり低いだろう。

catch_ippo_ganmenゴンザレスさんのカウンターが直撃するシーン。結構、迫力ある描写なので、個人的には好き。

そんなわけで、一歩は目立った成長がほとんど見られず苦戦を繰り返し、世界ランカーのゴンザレス相手に負けてしまうのである。おまけに鴨川会長までもが一歩のボクシング技術の向上はほとんど放棄しており、トレーニングもフィジカルトレーニングが中心で選手の打たれ強さに甘えてしまっている無能な脳筋トレーナーに成り下がっている始末。結果、一歩は試合の度にダメージを蓄積させることになり、ゴンザレス戦後は手の震えで真っ直ぐな線を描けないというパンチドランカーを連想させるようなシーンもある。しかし、この件は一切会長に報告せずに現役続行を決意。どうやら、死にたいようだ。

さて、ここまでが現在、主人公の幕之内一歩が抱えている問題だ。簡単に箇条書きにしてみると以下のようになる。

  • ボクシングの技術レベルが低すぎる。東洋圏の王者のアウトボクシングにほとんど何もできないレベル。
    • 接近戦しかできない事をジム全体で「勇敢」とか「愚直」という言葉を使って正当化してしまってる事。
    • 左の名手に滅法弱い。打たれっぱなしでガードやブロックもほとんどなし。
    • 勝ちパターンは散々打たれ続けた後の破壊力抜群の逆転パンチ
    • ゴンザレス戦では得意のはずの接近戦でも技術的には圧倒されており、ゴンザレスがキレてなければ、ぐうの音もでないほどの完敗。
  • 指導者の鴨川会長が一歩の打たれ強さを頼りにしてしまっている
    • 危険を冒して懐に飛び込むスタイルなのだが、ダッキングやウィービングの練習はしても、それ以外のディフェンス技術の向上にはあまり努めていない。
    • 試合中の作戦も一歩の打たれ強さが前提という無能っぷり。
    • でも、作中では名伯楽という謎評価。
  • 肉体はダメージと障害を抱えて下降中で今後が見えない。
    • パンチドランカーを連想させるような描写は今後、一歩が強くなる期待が薄れてしまうため、仮に強くなったとしても説得力がなくなってしまう。
  • 本気で世界挑戦する気?
    • 現役続行を表明したものの、一歩がリカルドのベルトを本気で狙っているのかハッキリしない。
    • 現在、行われているジムの先輩の世界王者鷹村の試合を見て、一歩が気持ちを切り替えるのだと思うが、それでも、上記の問題が解決しないことには・・・

今後の一歩が踏み入れる人外の領域とは?

一歩はゴンザレス戦後、先輩鷹村にメンタルの弱さを指摘される事になる。その際に、使われた言葉が「人外」である。

ゴンザレスに負けた際、言い訳を一切しなかった一歩に対し、鷹村が見苦しくてもいいから言い訳をすべきだと言った。

要点としては

  • 潔く負けを認めてしまったら、選手としてはその時点で終わり。
  • 見苦しくて、言い訳をしてもう一度やれば勝てるという姿勢だけは捨てるべきではない。
  • もう一度やっても勝てないなんて言うような奴はさっさと引退すべき

更に鷹村は続ける。スポーツライクなノリで日本王者になれただけでも立派 と一歩のこれまでのがんばりを認めつつも、明確な目標を掲げないままの一歩に対して「人外の者だけが住む場所だ 人のまま入ってくるな」と世界の領域の厳しさを真顔で伝える。

そんな事があって、ライバルでもある千堂武士と過去に対戦した間柴のそれぞれの試合が鷹村の試合と同じ興行で組まれる。二人は控室でケンカをやらかし、ダメージを抱えたまま試合をする事に。

間柴は東洋ランク1位の挑戦者に苦戦するが、対インファイター用のアッパーと打ち下ろしのチョッピングライトで相手を血だるまにしてKO勝利。その表情はまるで人外。

千堂は世界ランカー5位のメキシコの王者 ホセ・ナーゴと戦う。ナーゴはリカルド・マルチネスのスパーリングパートナーを務めるほどの強敵。ヒットアンドアウェイを繰り返し一切被弾せず千堂を翻弄する。しかし、千堂は独自の当て勘でパンチを当て、ナーゴの体勢を崩すと、ボクシング史上前代未聞の必殺技「握りこぶし!!」でナーゴのボディに甚大なダメージを与える。
ちなみに、「握りこぶし!!」とは密着状態で相手の脇腹に拳を握りながら腕力で捻じりこむだけ。これをグローブをつけたまま行うのだから、人外。この必殺技でナーゴの動きは鈍くなり、千堂に捕まってしまう。しかし、ナーゴも世界ランカー、仕留めにかかる千堂をカウンターを合わせて、千堂は思いっきり被弾。この光景に自分とゴンザレスを重ねる一歩。一歩はここで失神してしまったが、千堂は構わず、スマッシュをナーゴに顔面に浴びせナーゴを失神KOしてしまう。やはり、人外。

「人外の者だけが住む場所だ 人のまま入ってくるな」

この言葉の意味がわかってきた一歩はメインイベントである鷹村の試合をリングサイドから観戦する。その試合は現在、週刊少年マガジンの誌面で行われており、まだ決着がついていないため、内容は省くが、鷹村の勝ちは確定しているので、ここであえて広げるつもりはない。一歩が驚くような人外っぷりが描かれるのだろう・・・。

そして、おそらくは、この日行われた3試合に、触発をされた一歩が再始動という流れに持っていきたいんだろう。しかし、何度も言うが、一歩の弱さは気持ち以前の問題なので、ここから気持ちだけ本気になったところで、一歩のステップアップには説得力がない気がする。

現在の一歩の強さと今後の課題

一歩は現在どのような位置にいるのか?現役の選手でフェザー級/ジュニアライト級/ライト級の3階級に絞って一歩の立ち位置も確認しつつ振り返ってみようと思う。筆者的にはこんな具合になる。

S++:リカルド・マルチネス
–越えられない壁–
S:アルフレド・ゴンザレス  / ヴォルグ・ザンギエフ 、 マイク・エリオット
A+:千堂武士、宮田一郎(超一流のドゲザー) /  間柴了
–人外の領域–
A: 幕之内一歩、ホセ・ナーゴ、ウォーリー
A-:今井京介、板垣学 / 伊賀忍
B+:星洋行 / 木村タツヤ  青木勝、今江克孝

ご覧の通り、今の一歩は二度も勝っている千堂に負ける。事実、一歩はゴンザレス戦前の千堂とのスパーリングで倒されているし、マルコム・ゲドー戦前のスパーリングでも間柴にやられている。世界を明確に意識している二人には敵わないのだ。また、ゴンザレスはリカルド・マルチネス以外には負けていないため、実質、ヴォルグやマイクなどの世界王者と同等レベルの実力があると言って差し支えないだろう。

人外手前まで来ている一歩がどうやって、その線を踏み越えるのかが今後の物語の鍵となりそうです。作者の森川ジョージはどのようにして一歩にこの線を超えさせるのか?これは結構難しい気がする。

いっその事、鴨川会長を死なせてしまってはどうだろう(真顔)?

一歩の問題点はやはり技術レベルの低さです。そうなると、現在の会長の下では劇的なレベルアップはかなり難しいのだと思う。よって、会長を病死させて、別の指導者に一歩を育成させた方が一歩は確実に強くなれると思うのです。では、誰が一歩を強くするのか?

適任者は3人。猫田銀八、浜団吉、伊達英二の3人。

1.猫田銀八は鴨川会長と浜団吉と数十年来の付き合いで、作中でも合宿の際には度々登場しており、ボクシング指導をする風景もある。ミットを持てば、木村が息切れするレベルで、指導力もあり、長年、鴨川ジムの選手を見ていただけに、適材と言わざるを得ない。
2.浜団吉は同じく鴨川会長とは旧知の仲で、世界王者を何人も育ててきた名トレーナー。現在はヴォルグ・ザンギエフのチーフトレーナーを務めており、ヴォルグと共にアメリカを拠点に活動中。なので、一歩が渡米しないことには、実現の可能性はなさそうだが、おそらく、一番レベルアップさせてくれそうな人物。一歩が長期のアメリカ合宿を行うなどすれば一歩のレベルアップも可能になるのでは?また、ヴォルグ自身も一歩に借りがあるため、積極的にトレーニングに付き合ってくれるのではないかと思う。
3.リカルド・マルチネスと2度対戦した経験を持つ唯一の日本人で、一歩とも対戦したことのある伊達英二は現在、ジムのオーナー。鴨川会長の死後、自暴自棄になっている一歩を見て、伊達英二が世界を知る者として、一歩を再教育。自分のジムを沖田トレーナーに任せっきりにして、鴨川ジムで一歩の指導に専念するという展開とかどうだろう?

いずれの道を選んでも一歩はきっと今より強くなるはず。そうだ!鴨川会長をなんとかして殺そう。でも、たぶん、無理だろう。

後編ではそんな、手詰まり状態の「はじめの一歩」の終着点を考えてみようと思う。

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1 Comment

  1.  /  返信

    最低のゴミ漫画だから終了しろ
    なんか一歩が弱すぎて惨めすぎて可哀想そのうちしぬな
    鷹村は楽勝常勝なのに
    もう一歩なんて雑魚は見たくないんじゃ 鷹村の話にしろや(暴論)

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